**柄山峠から鬼無里側に入ると、風は止んで空気も温む。風切地蔵の恩恵??**
北風をまともに受ける柄山峠では、立ち止まっているとたちまち体温を奪われて、自分がそのまま氷の地蔵になってしまいそうです。
今回は長野放送の特番の取材も兼ねていたので、ここで、風切地蔵の脇に立って、 GPSを片手に三体の風切地蔵やその他のポイントについて解説するのですが、寒さに声は震えてしまうし、 カメラのレンズに飛雪がすぐに溜まって中断しなければならないしで、なかなか過酷でした。
**鬼無里側の柄山峠の麓。まるで墨絵のような風景。かつては、 この家が旅人宿を営んでいた**
収録が済んで、這々の体で峠を越えて鬼無里側に入ると、これがまったく不思議なことに風が止んで、 空気が心なしか温んだように感じられます。
「柄山峠を越えるとね、白馬と鬼無里側では気候帯が違うことがいつも実感できるんですよ」
と、案内してくれた下川氏。
たしかに、白馬側は乾雪だったものが、鬼無里側ではしっとりした湿雪で、積雪はこちらのほうが多いものの、空気は温み、 たちどころに寒さによる震えは止まってしまいました。これが、 寒風に震えていた峠からほんの20~30m下っただけというのですから不思議です。
**鬼無里側の柄山峠登山口。バス停から一里半の行程だが、今は所々荒れていて、 注意が必要**
鬼無里側は、しばらく前までは柄山峠までの登山道を整備していましたが、幾度かの台風や降雪で荒れて、沢沿いの道を、 ところどころロープにすがってトラバースしなければならないところがあります。
枯れ葉が堆積した上に雪が積もって、とても滑りやすく、幾度か肝を冷やされました。それでも、なんとか鬼無里側に下山し、 先に回してあったマイクロバスに乗って、出発点の野平集落まで戻って、参加者全員で、今日の労を暖かい豚汁でねぎらいました。
**翌日の白馬野平集落からの眺め。姫川の谷を挟んで白馬の山並みが見渡せる。 前日の雪降りの先にこんな光景があるとは……**
**今回の柄山峠越えのルート。白馬側は尾根筋を辿り、 鬼無里側は谷筋を辿る形になっている**
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