梅雨末期の大雨に備えて
沖縄ではすでに早々と梅雨明けして、まぶしい夏の太陽が輝いて羨ましいかぎり。 本州ももう少しの我慢といったところですが、もっとも雨が多いのが梅雨明け間近の今頃ですから、油断は禁物です。
朝のうち晴れ間が見えていたので、 安心して傘も持たずに出かけたら午後から天気が崩れることも今の時期は珍しくありません。 しかも傘では役に立たない土砂降りの豪雨なんてことも。
アウトドアフィールドでは横殴りの暴風雨に突然見舞われるのも今の時期。 当然レインスーツ(雨具)の出番となります。
◆アウトドア用レインウェアの定番。モンベル「ストームクルーザージャケット・パンツ」
軽く、コンパクトで、蒸れず、快適に雨の山旅が楽しめます◆
かつて、レインスーツといえば、ナイロン生地の内側一面にゴムを貼り付けた「ゴム引き」 素材がありましたが、これは重くかさばり、しかも通気性もなくて、 これを着て行動するのはサウナの中で運動するような苦行でした。また、 荷物を軽くコンパクトにして気軽に出かけたいワンデイハイクでは小さなザックにこいつを入れてしまうと他になにも詰められないほどで、 あらゆる意味で憂鬱な代物でした。
その後、ゴム引き素材に代わって、 生地にウレタンなどを重ねて防水性を持たせたハイパロンといった素材が出てきました。こういった素材は、軽く、 コンパクトに収納できるので、物理的にも心理的にも負担がだいぶ減りました。しかし、まだ「防水性」と「蒸れ」 というトレードオフの関係を解消することはできませんでした。
「新素材」 レインウェアの快適性の秘密
「雨を防ぐと同時に蒸れず、しかも軽くコンパクトなレインウェア」 というアウトドアの世界での永遠の命題とも思われた問題を解決したのが、今から20年ほど前に登場した「ゴアテックス」 に代表される『防水透湿』素材です。 その名のとおり、外側から侵入しようとする雨滴はシャットアウトし、 内側(体)から発散される汗は外に逃がすという画期的なものでした。
『防水透湿』の秘密は、「雨粒より小さくて、 汗(水蒸気)より大きい孔がたくさん開いた生地があればいいではないか」というコロンブスの卵的発想でした。ゴアテックスでは、 ナイロン等の生地にゴアテックスフィルムという「多孔質フィルム」をラミネート(挟み込み)することで、 この特性を持たせたわけです。他にも同様のフィルムを用いたり、あるいは生地自体に樹脂などを含浸させて「多孔質化」 して同様の性質をもった素材が使われます。
私は極度の汗かき性で、防水透湿素材がない頃には、夏山で雨に遭うと、 もうそれだけで泣きたい気持ちになってしまいました。重い荷を背負って急登に喘ぐだけでなく、 かいた汗の逃げ場がなくて下着までびしょびしょになると、「これなら雨に濡れたほうが快適だ」 とゴム引きのレインスーツをかなぐり捨てたことも幾度もありました。
そんなときに、ゴアテックス製のレインウェアがまさに鳴り物入りで登場し、半信半疑ながら、 さっそく20年前に4万円もする「高級ギア」であったこれを購入して、さっそく夏山へと出かけました。
北アルプスの槍ヶ岳への登りで暴風雨に遭い、凄まじい吹き降りの中、這々の体で肩の小屋に到着したとき、 いつもなら汗だくでバテきっているところが、少々息を弾ませる程度で済み、 何よりゴアテックスのレインウェアの形から汗の湯気が立ち上っているのを見て感動したものでした。
今では当たり前のものとなった防水透湿素材は、さらなる進化を遂げて、より自然な風合いで、 耐水姓や通気性が向上し、耐久性もアップしています。冬のアウタージャケットなどは、防水透湿素材が当たり前で、 レインウェアを別に持つ必要がなくなっています。
ところで、梅雨時の登山やハイキングではもちろんレインウェアが必須ですが、 アウトドアアクティビティに限らず、屋外にいることが多い人には、レインウェアがお勧めです。
何よりレインウェアのメリットは、両手が自由になるところにあります。例えば、 自転車に乗るのに傘を片手に器用に運転している人がいますが、これはいざというときにとても危険ですし、 横殴りの雨のときなどはまったく役に立ちません。
タウンユースでも便利な「ポンチョ」 の勧め
また、日常使用するなら、脱ぎ着の面倒なツーピース型のレインウェアではなく、 ポンチョ型を使うのも便利です。
これは、もともと、ザックを背負ったまま頭からすっぽり被るようにできているので、あめが降り出してから、 サッと着用できる上、荷物ごと覆ってしまえるので、たとえば買い物袋を両手に提げていても濡らさずにすみます。
ポンチョタイプは裾がヒラヒラと開いているので、 高山での下から吹き上げてくるような風雨には適しませんが、日常的な場面では、けっこう重宝します。 ゆったりしていて通気性がいいので、高価な防水透湿素材を用いずに、従来のハイパロン等の素材で快適です。
とくに、街中でも、 子供を連れ歩かなければならないお母さんには、子供用ポンチョがお勧めです。最小の折りたたみ傘と同程度のサイズで、重さも250gと軽く、 雨が降り出したら、サッと広げて被せます。両手が自由なので、しっかりと手をつないでいられるし、傘のように視界を妨げることもなく、 また車のライトに反射するリフレクターが縫いつけられているので、見通しの悪い雨の夕方などにも安心です。
◆子供用には、ポンチョがお勧めです。 片手に収まるサイズで持ち歩きにも便利◆
◆何より両手が自由になるのが安全です
背中側にはリフレクターが縫いつけられ、 夜間の被視認性も高くなっています◆
次回は、 「梅雨を快適に過ごす その2 -アンダーウェアとフットウェア-」 をお届けします
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