そろそろストーブやコタツが恋しくなってきた。
10月初旬、軽井沢で紅葉の兆しを楽しんだ。
下旬には信州廻り目平で燃える紅葉に包まれた。
だが、都会生活に戻るとあっという間に時間が過ぎて、きがつけば冬の入り口に立っている。
自然から疎外されていると感じるのは、外界の変化が察知できずに、気がつくと季節が変わってしまって、慌ててこちらの気持ちを合わせようとするこんなときだ。
温暖化の昨今では、まだ僕の住む東京郊外では「地初めて凍る」とまではいかないが、この文字を見つめて情景をイメージすれば、もうまもなく刈り入れの済んだ田や畑に霜が下りて、地面が凍ることが実感できる。
天気予報では、「北海道では平野でも雪が降りそうです」と伝えているが、北海道では……と言われても 1000km以上離れたここでは他所の国の話のように聞こえてしまう。
だが、暦に記された七十二候の「地初めて凍る」の文字を見れば、冬支度を急がなければという気にさせられる。
この数日、新しいPCを導入したのはいいが、データ移転やらネットワーク設定やらで奴隷のように件のPCにこき使われて昼夜逆転の生活を余儀なくされているが、その真新しい19インチのモニタの横に掲げて、「地初めて凍る」と語りかけてくれるのは「Think the Earth Project」が企画して作り上げた『えこよみ』だ。
Think the Earth Projectは、このコラムの第一回で紹介したガイアシンフォニー3の助監督を務めた上田壮一さんが立ち上げたプロジェクトで、環境と経済の共存共栄を目指して、様々な活動を展開している。
上田さんとは、某ゲームメーカーの大プロジェクトで一緒になり、ともに中国の辺境を取材したり、まったく新しいゲームシステムについて意見を戦わせたりしながら、楽しく同僚として仕事をさせていただいた。
彼はゲームプロジェクトからはぼくより先に離れることになり、そのすぐ後にThink the Earth Projectを立ち上げて、とてもセンシティヴで斬新な製品企画やイベントを展開し始めた。
ちょうどぼくがこのOutdoor Basic Technicをスタートさせた頃、上田さんが関わった「ガイアシンフォニー3」が完成し、その試写会に呼ばれて彼と再会した。
それからまた月日が流れて、上田さんはThink the Earth Projectで経済と環境を融合させる試みを推し進めて、その分野での第一人者となった。
彼の講演会が有楽町で開かれることを知って、当人にも知らせずに出席すると、彼はぼくを見つけてとても驚き、そして喜んでくれた。
ぼくも懐かしい友が活躍し、自分の活動を自信をもって解説する姿がとても眩しいと同時にとても嬉しかった。思い返せば、ゲームプロジェクトの場で出会ってから大地は10回凍ったことになるのだ……。
「地初めて凍る」は第五十六候、次の第五十七候は「水仙香ばし」。
この夏久しぶりに訪ねた越前岬ではもうすぐ水仙の花が咲き始める。
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