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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
vol.212
2021年4月15日号
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◆今回の内容
○道教と日本の信仰
・道教の八百万の神
・緻密な日常祭祀
・道教の教理
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道教と日本の信仰
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去年からのコロナ禍で、厄介な疫病を祓う神として「アマビエ」が流行り、御札が出たりお菓子の焼印にされたり、様々なキャラクターが現れたのは記憶に新しいところです。
こうした呪(まじな)いのルーツは道教にあります。道教では、様々な神の名前を書いた護符(霊符)を作り、それを門口や祭壇の周囲に貼り付けたりして、悪鬼や疫病が入り込むのを防いだり、あるいは財運の向上や病気の快癒を願ったりします。
そうした護符による呪いの習慣が日本に入り、寺社などで配られる御札や御朱印などに変化していきました。
道教というと、すぐに思い浮かぶのは毳々しいほどに装飾された廟とその奥に祀られた鬼の形相の鍾馗や閻魔大王、そして祭礼時に鳴らされる爆竹の音などで、日本の静謐で荘厳な雰囲気が漂う寺社の様子とは対極にあるもののように感じます。
そうした外面的な部分からは、神道や仏教あるいは修験道などに道教が大きな影響を与えているということが俄には信じられませんが、じつは日本の信仰シーンの全てで、道教の原理や教理が底流を成しているのです。
今回は、そんな、じつは身近にありながら、あまり意識することのない道教について触れてみたいと思います。
●道教の八百万の神●
道教が日本の信仰シーンに与えた影響は、レイラインハンティングの基本である聖地の方位の中にもはっきりと現れています。
日本の神社(寺院の多くも)は、基本的に社殿は南向きで、参道も南に向かって伸びています。これは、北極星を背負う形に作られているからで、その意味は天の中心にある北極星を最高神として仰ぎ、これに礼拝する形を示したもので、まさに道教を発祥としています。
中国皇帝は、その玉座を南に向けます。これは、中国皇帝が地上に降りた最高神の化身として衆生を南に見下ろしていることを象徴しています。道教では、これを「天子南面す」という端的な言葉で表しています。日本では、その思想をそのまま受け継ぎ、宮城は南向きに設計され、その最奥に置かれた天皇の玉座も南を向いているのです。
「八百万の神」と形容されるように、神道の特徴として無数の神を祀る多神教であることが挙げられますが、道教でもやはり同様に非常に多くの神が祀られます。戦前の民俗学の研究では、神道で祀られている神の総数は400あまりに分類されましたが、道教の神々も300を越えています。
神道も道教も太古のアニミスティックな自然信仰をルーツにしているため、数々の自然現象を神として崇めました。畢竟、神々の数が多くなります。神道の場合は太古の信仰のままに自然現象を神と崇める信仰が中心であり、いまだにこの種の神が圧倒的に多いのに対して、道教では自然現象を神として崇める神々よりも、伝説や歴史上の人物を神としたもののほうが多くなっています。
これは、日本では古来変わらず自然災害が多く、農業経済主体の社会だった性質上、これを恐れる感覚が根強いのに対し、中国では日本に比べると自然災害は少なく、商業経済が早くから発達したといった違いが反映したものと考えられます。
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