レイラインハンター日記 "大地との対話" (Ley Hunter journal)

聖地学講座第88回「今年はレイラインがブレイク!?」配信

*写真は福島県いわき市小名浜鹿島神社の冬至の夜明け(いわき観光まちづくりビューロー提供)

 

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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」

　　　　　　　　　　　　　　　 vol.88
2016年2月18日号

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◆今回の内容
1.今年はレイラインがブレイク!?
　・JAL「光の道」
　・日本遺産とレイライン
2.お知らせ

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今年はレイラインがブレイク!?

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　昨年の9月から12月にかけて福島県のいわき市で行なった聖地調査の報告書がまとまり、明日19日はそれをもとにした講演会とシンポジウムが開かれます。いわき市の聖地については、この講座でも何度か触れましたが、来年度からは数年に渡って、いわき市内各地の聖地をより精密に調べデータベースとして整備していく予定です。

　今回のいわき市での取り組みは、今後、他の地域でも活かし、ゆくゆくは日本全国、さらには世界中の聖地をデータベース化したいと考えています。

　翌20日は、先月ロケを行ったテレビ番組が放映されます。BS-TBSで18時30分から19時、「太陽と大地の聖地・上田・別所温泉を巡る旅」のタイトルです。ぜひご覧ください!

　また、電波ではなくネットTVのほうでも企画が進んでいます。こちらは最初からシリーズ化の予定で、私は、スタッフが各地の聖地を取材した映像にスタジオでコメンテーターとして関わる予定です。今、MC候補にあがっているのはサブカル系に強い某女性タレントで、共演できることを楽しみにしています。こちらは詳細が決まったらご報告したいと思います。

　今月末は伊豆の下田で聖地巡りツアーのガイドをするのですが、ここでもある有名な方とコラボで巡る予定となっています。

　その下田が終わったら、その足で若狭に入ります。2005年から続けている「若狭不老不死伝説＆お水送り」ツアーのガイドです。今年はウイークデーの真ん中というのに例年の倍以上の申し込みがあり、大型バスをチャーターしてのツアーとなります。

　そんな調子で、レイラインハンターとしての仕事が目白押しのところに、さらにレイライン絡みでびっくりするものが出てきました。

　それは、つい数日前からはじまったJALの新しいコマーシャルです。

【JAL「光の道」】

　今テレビで流れているこのコマーシャルをご覧になった方も多いと思います。このCMは「光の道」つまりレイラインをテーマにしているのです。

　旅に出かけた嵐のメンバーたちが、とある神社の階段を登っていると、地元の子供たちが「光の道や!」と言って駆け上がってきます。嵐のメンバーが「光の道?」と呟くと、彼らを追い越した子どもたちが振り返り「あれや!」と指さします。すると、海まで伸びた長い参道の先にちょうど太陽が沈んでいきます。その神々しい風景に感動した嵐のメンバーは「大事だよな、好奇心て」とつぶやく。

　それは、ずっと私が「レイラインハンティング」でアピールしてきた聖地ならではのレイラインを示す光景です。レイライン=光の道を追い求めて20年余り、ついに大手企業のイメージコマーシャルに使う時代が来て、まさに感無量です。

　YoutubeのJAL公式サイトにもアップされていますので、まだご覧になられていない方は、下記のリンクを辿ってみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=At-_O0PUVAg

　このCMの舞台は福岡県にある宮地嶽神社です。宮地嶽神社は、創建が1600年前と伝えられ、祭神として神功皇后が祀られています。神功皇后が三韓征伐の折に、ここに立ち寄り、戦勝を祈願したとされます。

 

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聖地学講座第87回「『聖地観光』という視点」配信

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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」

　　　　　　　　　　　　　　　 vol.87
2016年2月5日号

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◆今回の内容
1.『聖地観光』という視点
　・聖地に光を当てれば土地が輝く
　・ところで、自分の故郷は?
2.お知らせ

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『聖地観光』という視点

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　先週末は長野県上田市の別所温泉を中心に周辺の聖地巡りロケをしてきました。

　別所温泉は、第72回『大地に描かれた北斗七星』でも紹介しましたが、龍脈を背負って龍穴に温泉が湧き出す風水の理想条件を備えている上に、夏至の朝日が昇る方向が開けて、太陽信仰的な意味でも理想的な地形をしていることから、太古から聖地とされてきた土地です。後に、道教・仏教的な結界も加えられ、より聖地としての色を濃くしました。その結界の一つが大地に描かれた北斗七星だったわけです。

　今、上田市は大河ドラマ「真田丸」の舞台として盛り上がっています。別所温泉は真田の隠し湯とも言われ、真田幸村はじめ真田十勇士たちもここで英気を養ったと小説などで紹介されています。真田の旗印である六文銭は三途の川の渡し賃であり、命をなげうつ覚悟で戦いに臨むという心構えを象徴したものとされています。

　一方、地元では別な説も伝えられています。それは、真田の本拠地と別所温泉を分ける千曲川を三途の川に見立て、川を渡って別所温泉に行く際に六文銭を川に投げ入れて渡ったことから六文銭が旗印にされたという話です。別所とは仏教用語ではあの世という意味があります。この世でない「別の所」、つまり彼岸であるというのです。真田にとっての別所温泉は、文字通りの彼岸であり、いちどあの世に行ってそこで極上の温泉に癒され、生まれ変わり、力を漲らせて戻ってくる。そんな場所としてとらえられていたのかもしれません。

　別所温泉は、日本武尊が東征の帰りに発見し、ここで歴戦の傷と疲れを癒やしたとされ、清少納言も「枕草子」の中で、島根の玉造温泉、三重の有馬温泉と並ぶ三名泉の一つとして紹介しています。武運長久の神である日本武尊が発見し、英気を養った温泉ですから、武士にとってはこれほどありがたい湯もなかったでしょう。真田だけでなく、平安末期には木曽義仲、鎌倉時代の北条氏や戦国時代の武田信玄、江戸時代には上田藩主と家臣団と、時代が変わっても武士たちに愛でられ続けました。

　今回ロケした番組は、旅番組仕立てで、主役の女性を私が案内しながら、別所周辺の聖地を巡り、個々の聖地に立ち昇る「ゲニウス・ロキ=土地固有の雰囲気」を感じるという構成になっています。

　今、ちょうど編集中で、正式なタイトルは決まっていませんが、今月20日の18時半からBS-TBSで放映されますので、ぜひ、ご覧になってください。

　と、少し前置きが長くなってしまいましたが、今回は別所温泉での取り組みを例に、地域興しのツールとして「聖地観光」の可能性に触れてみたいと思います。

【聖地に光を当てれば土地が輝く】

　別所温泉では、別所の聖地を観光資源として活用しようというプロジェクトが2013年から始まりました。観光協会と旅館組合、上田と別所温泉を結ぶ上田電鉄、さらに地元の長野大学が一丸となって、別所温泉周辺の聖地とその歴史を見なおし、それを永続的な観光資源として活用しようという試みです。

　その初期の段階から参加させていただいて、聖地調査を行なってきたわけですが、今度放映される番組も一つの成果であり、また若い女性やカップルに好評を博している「太陽と大地の聖地温泉でデトックス＆チャージ」という旅行キャンペーンや、「聖地の恵み」という地元で採れる材料を使った自然食品ブランドの展開や、これと連動したメニューをカフェや旅館、学食で提供するなど、どんどん具体的な形となっています。別所を訪ねる度に新しい取り組みに出会い、次はどんな楽しいことが待っているんだろうと期待させてくれます。地元の人たちが身近にある聖地の意味を理解してそれを誇りに思うことが、そうした躍動感の源泉になっているのだと感じさせられます。そして、私の聖地調査がそのきっかけの一つになったことをとても誇りに思っています。

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