年末年始に歴史のテキストをあれこれひっくり返して思ったことは、「歴史は雰囲気で動く」ということでした。
イデオロギーも大義名分も「雰囲気」にはまったくかなわない。なぜなら、雰囲気は大衆を征するから。
封建制の時代でも、戦場の雰囲気が兵士の士気を左右して、その雰囲気を掴んだほうが勝つ。
民主制の時代はなおさら「民」の気分を掴んだほうが勝つ。
ヒトラーはそれがよくわかっていたから、自らが唱えるイデオロギーが理屈に合わなくてもまったく気にしなかった。
ここ最近の日本の状況を観ても、安倍がもてはやされたかと思えば、安保法制で信用を失いかけ、でも「人の噂も七十五日」で、また支持率上昇。
自民党が上手なのは、逆風の時には首をすくめておいて、イニシアチブが取れそうになると、すかさずそれを掴んで、「決まってしまったものは仕方がない」という「諦めの雰囲気」を世に充満させること。
なんだかんだ言っても、55年体制をずっと維持してきたノウハウが生きているのでしょう。
老練な保守政治に革新をもたらすためには、もっと「雰囲気」をどうつかむか、どう醸成するかという点に智慧と労力を注ぐべきでしょう。自民党を見習って。
北朝鮮が水爆実験を行ったことで、これを集団的自衛権が必要だとする説得材料に使うのか、あるいは、もっと進んで、核武装が必要だと説くのか、それとも、極東の軍拡競争に乗って行ってみんなで破滅する方向ではなくて、こんな愚かなことはやめて、オルタナティヴの道を探そうよと持っていくのか?
私は、オルタナティヴ派ですが、思考が硬直した中高年世代などにアピールすることはせず、未来を担う若い人たちが選挙権を持つ時代なのだから、彼らの気分をオルタナティヴな方向に盛り上げていくことがポイントになると思っています。
危機感を云々してもあまり意味はない…というか、それは保守派の思う壺。歴史をオモチャにしてきた中高年の言うことなんかに耳を傾ける必要などない。若者たちが住みやすい世界を作る主体性を持ってほしいと訴えます。
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