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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
vol.41
2014年3月6日号
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◆今回の内容
1 水と聖地
・十一面観音
・水の力と聖地
2 お知らせ
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水と聖地
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先週末は、若狭の春の神事「お水送り」に参加してきました。
若狭の遠敷(おにゅう)川から聖水を注いで奈良東大寺へ送る、火祭りと融合した不思議なこの神事に参加するのも今回で8回目。例年は、大護摩に火が入るまでの2時間あまりを寒空の下で凍えながら過ごすのですが、今年は異例の暖かさで、若狭に春を呼ぶはずの神事が、春の雰囲気に包まれ、穏やかに進んでいきました。
お水送りは、若狭の神宮寺境内に湧き出る「閼伽(あか)井」から汲んだ水(「ご香水」)を盛大な護摩の火で清め、遠敷川の中流にある鵜の瀬から注ぎ入れることで、奈良東大寺の二月堂下にある若狭井へ送るという儀式です。もちろん、鵜の瀬と若狭井が直接繋がっているわけではなく、若狭に産する良質の水銀を含んだ水を奈良東大寺に運ぶことを象徴しています。
儀式の詳細と意味については、第17回『若狭お水送りと不老不死伝説再考』と第28回『水銀と聖地』で紹介しましたので、そちらを 参照いただくとして、今回は、若狭の「お水送り」とこれに対応する奈良の「お水取り」という儀式が、十一面観音に捧げる水にまつわる儀式であるというあたりから、古来、水に対して人々が抱いて きた聖性について触れてみたいと思います。
【十一面観音】
十一面観音は、その名が示すように、本体の顔とともにその頭上 に10もしくは11面の顔を持っています。前面には慈悲を表す三面の菩薩相、左に怒りの忿怒相三面、右側に怒りの極地ともいえる牙を 剥きだした白牙出相が三面、そして背面に大笑面、さらに頭上に菩薩相を持つものもあります。これらは、衆生が持つ様々な感情と、 それが解消して穏やかな菩薩相に向かう様子を表し、衆生がそのように救われる道へと十一面観音が導いていくことを語っています。
さらに、十一面観音は水の仏であることも特徴の一つで、左手に水瓶を持ち、この中に満たされた聖水が、衆生の煩悩を洗い清め、 現世利益と極楽往生、さらに明知をもたらすとされました。
この仏は、中国伝来であり、大陸における信仰では澄水の仏という性格は薄く、日本に入ってきてから、白山を開いた泰澄が帰依し たことから、水との関わりが深くなりました。
泰澄は、十一面観音を白山の化身に見立てました。霊場白山が修行者に見せる厳しさと美しさの様々な表情は十一面観音が示す様々な仏の相であり、その手に持つ水瓶は白山の水瓶ともいえる降り積 もった雪であり、水瓶の中の水は、白山の山体に取り込まれた後に流れ出す雪解け水と考えたのでした...........
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