コンゴ(今はザイールと言うのだったかな? いや、コンゴからザイールに変わって、またコンゴに戻ったんだっけ?)の奥地にあるとある湖に、現代まで生き残った恐竜が生息するという噂に惹かれて、あるジャーナリストが探検に出かける。
彼は学生時代からの友人でバイセクシャルの(因みにその友人はニューヨークに残してきた西アフリカ出身の恋人がいて、この探検仲間とはそういう関係ではない。と、これもどうでもいい話だが)大学教授を相棒にコンゴまでやってきたが、二人は探検の「タ」の字の経験もなく、サバイバルの「サ」の字の知識もない。
そこで二人は、首都のキンシャサ(コンゴの首都は多分キンシャサだったような気がする)…キンシャサだったかどうかはともかくとして、とにかく、文明人がとりあえず無防備に生きていける環境にあるコンゴの首都で、探検の準備第一弾として占い師を訪ねる。
リーダー(というか単に馬鹿な旅を思いついたほう)のジャーナリストが占い師に尋ねる。
「××湖(湖の名前は忘れた。たしかなんとかポポとか、ペンコペンコ何ちゃらとか、日本語的にみると愛嬌のある名前だった気がする。ただし、名前の響きに反してそこは忘れられた首狩り族が支配し、一噛みでカバをも即死させる葉っぱに擬態して潜む蛇が生息するおぞましい場所なのだが)に行って、恐竜を探すつもりなのですが…」
占い師は、またジャンキーだか電波系だかのヘンテコなアホがのこのこヨーロッパからやって来たとみて、うんざりしたように答える。「あそこは外国人は立ち入り禁止だよ」
「そこんところは、政府にコネがあるので大丈夫」とリーダー。
先に金を受け取っている占い師は、やる気無さそうに、占いに使う宝貝を床に放り投げる。そして、散らばった貝が語る卦を見て言う。「二ヶ月だけなら、森の霊は害をしない…だけど、二ヶ月を一日でも過ぎたら、あんたら死ぬ」
「そんな…私たちは六ヶ月滞在するんです」
「じゃあ死ぬ」
かくて、ありがたい預言をいただいた二人は、ジャングルへと分けいって行く…。
最近読んだとある本の冒頭なのだけれど、もう、このワンシーンで物語にどっぷりと嵌ってしまった。
動機なんていい加減でいい、情報なんて何もないほうがいい、理解者なんて一人もいないほうがいい、行動にいちゃもんをつけたり妨害するやつがわんさかいたほうがいい、ついでに呪いのスパイスがかかっていると尚いい。
ああ、こういう馬鹿たれな旅がしたい。
レスを頂いていたのに、遅くなり済みません。タレブは知りませんでした。読んでみます。中東は、それはもう面白いですよ。是非。
投稿情報: 村田信一 | 2011/02/17 10:30
>村田さん
ご指摘ありがとうございます。
コンゴの話で、ブラザビルですね(笑)
ついでに自爆しますと、主人公の相棒はバイセクシャルじゃありませんでした。
思い切りリラックスして読んだので、記憶も極めていい加減なようです…でも、、読者が勝手なイメージを作れてしまう本というのもたまにはいいものですね。
ほんとに、ほんとうの旅をしたいですね!
そういえば、これも最近読んだ『ブラックスワン』の作者、タレブはレバノン出身で(本人はレブァント人と言ってますが)、地中海の真珠が狂気の混沌に堕ち行く時代を自ら経験して、いろいろ書いてますが、村田さんのテリトリーである中東のほうも興味深いですね。
投稿情報: uchida | 2011/01/28 22:10
コンゴ、良いですね。でもこの本は、隣のコンゴの話じゃなかったですかね?キンシャサではなく、ブラザビルの?私の記憶間違いかもしれません。
いずれにしても、これはほんとうの意味での旅ですね。行きたい。
投稿情報: 村田信一 | 2011/01/28 21:39