先週の後半は白馬のペンション「ミーティア」 を拠点に、TMCAのツリークライマー認定講座が開かれ、 それにサポートとして参加してきた。
四日間の日程で、一日だけ雨に降られたが、その日は、地元アウトフィッター「ライオンアドベンチャー」 の室内フリークライミングウォールを借りて、アッセンダーとディセンダーを使った技術講座を開くことができた。
今まではツリーイングというと、あまりアウトドアアクティビティの経験のない人が、 とっつきやすそうでこうした一人で登れるようになる講座に参加するケースが多かったが、このところ、 アウトドアアクティビティをガイドとする人たちが、自分たちのアクティビティのメニューにするために参加することが多くなってきた。
みんな、ロープワークやレスキューのベテランで、体力もあって、油断していると急かされたり、 逆に技術を教えてもらったりする局面もある。
だが、どちらかというと、一方的に「教える」という立場よりも、仲間意識を持って、互いに「研究するむといった形になる、 こうした講座は、運営する側としてもとても充実する。
今回も、一通りの講座を早く終えて、半日は、新しい技術のテストなどをみんなで和気藹々と行った。
さらに、もう一日時間に余裕を持たせて、ツリーイングツアーの現場下見にも出掛けていった。
以前、NBS長野放送のレイライン特別番組の取材で、白馬周辺にある巨木と出会ったが、そのひとつである「千年杉」 をまず訪ねてみた。
幹周りが8メートルあまり、樹高35メートルの堂々としたこの杉は、 まるで幹のような太い枝が四方八方に逞しく伸びているのが特徴で、巨大な縄文土器を思わせる。
そのどっしりとした風格と長大な年月を生きてきた生物が醸し出す雰囲気に、この杉に登ろうという気持ちは微塵も起こさせないが、 せめて、近くの樹に登って、この千年過ぎの半分の高さの目線でいいから、 この杉を作り出したこの土地の雰囲気を眺めてみたいという気にさせる。
ツリーイングをしていると、細く頼りなさそうに見える幹でも、一人の人間を支える程度のことはたやすく、「地に根を張る」 ということのたくましさを教えてくれるが、千年に渡って根を張り続けてきたこの樹は、人や自分を支えるだけでなく、 この土地そのものを支えるほどの太い生命となっているのだろうと思わせる。
この千年杉を育む山の頂上は、 晴れれば姫川が穿つ谷を挟んで北アルプスが聳立するすばらしく雄大な景色を拝める広い尾根となっている。
そこには、いい枝振りのミズナラやカラマツがあって、次の機会には、足元に千年杉を育む大地の力を感じながら、 雄大な景色に浸ろうと思っている。
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