先日、時間の都合がつかなくなって欠席してしまったGerald Curtis氏のセミナーのrésuméを読んでいたら、 あまり不穏当なことは言わないCurtis氏が、「テロが起きれば、McCainが勝つ」と大統領選挙について語っていた。
その言葉がどんなニュアンスで発せられたのかが、直接聴いたわけではないのでわからないが、 McCainが大統領になる二つの要素として、「まだ誰に入れるか決めていない人たちが、『経験の少ない、 この若い人で本当に大丈夫だろうか』と考えること」、そして、「9月11日のようなテロ事件がアメリカで起こること。 そしたらMcCainが大統領になります」と明言している。
『華氏911』では、Bush一族とbin Lādin一族との深い結びつきを指摘して、 地に落ちたBushの支持率が911で劇的に跳ね上がったことを揶揄していたが、同じ共和党候補として、 テロが後押しするなんてことが起こりえるのだろうか……。
McCain候補は、ベトナム戦争に従軍して、北ベトナム上空で撃墜されて捕虜となり、5年間を北ベトナムの収容所で送った。 前半の2年間は酷い拷問を耐えたという。代々、軍人の家系に育ち、自分も軍人としてのキャリアを積んで、ベトナム戦争では英雄となった。 一方、若い頃から権威や保守主義に対する反感を露わにしていて、士官学校時代も教師に抵抗して、成績は最下等に近かったという。 政界に移ってからも、党派にとらわれない、リベラル派の一匹狼として知られている。そんな経歴の人間が、 よもやテロなどという卑劣な演出を行うとは思えないが……。
一方、Curtis氏はObama候補をこんなふうに評価している。
「アメリカの政治家が演説するときによく言うのは……白人も黒人もヒスパニックもみんな仲良くしてやらないと、この国の将来はない。 だからみんな仲良くしましょう」ということです。しかし面白いことに、オバマさんは必ずそこに『アジア人』も入れます。彼の頭の中には、 アジアがちゃんと存在しているのです。 私はオバマにとても期待しています。彼が大統領になれば、 ヒラリーやマケインよりもアジアのことを意識するでしょう……」
前回の大統領選挙では、いったんは環境派として知られる民主党のAlbert Arnold Gore, Jr.候補が勝利した。それが、Bushの弟が知事をつとめるフロリダ州での信じられない逆転劇によって、 Bush勝利にすり替わってしまう。そして、元々支持率が低い上に失策を重ねて、Bush政権が窮地に追い込まれたときに911が発生する… …。
Bushが『世界の王』の座に着き、その腰巾着の小泉がBushの猿まねをして、弱肉強食社会、幻想経済に誘導していった結果、 世界は、日本はどうなったか……。
Curtis氏の不穏な発言が現実のものとならないことを祈りたい……そういえば、同じ民主党でありながら、Hillary Clinton候補も、Obama候補が暗殺されるようなニュアンスの発言をして、物議を醸していたが。
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