**最新の"4レイヤーシステム"のシェルをミッドシェル・アウターシェルに分割し、さらにきめ細かい対応ができるようになったファイントラックの5レイヤーシステム**
GWに登山やトレッキング、サイクリングなど様々なアウトドアアクティビティを計画している人も多いと思うけれど、この時期は真夏のような陽気だったかと思うと、急に冷えこむこともあるし、まだ朝夕は空気が冷たく感じられる。そんな季節の変わり目で厄介なのはウェアリングだ。
薄着で油断していたら寒さで震えてしまったり、逆に寒さを警戒しすぎて重装備になり、軽快さが失われたり…。変わりやすい気候に合わせて幅広く対応するためには、レイヤードの組み合わせが重要になってくる。
昔はアウトドアウェアのレイヤードは、「アンダーウェア」、「インナーウェア」、「アウターウェア」の3レイヤーで考えられていた。最近では、「ドライレイヤー」、「ベースレイヤー」、「ミッドレイヤー」、そして「シェル」の4レイヤーで構成するようになっている(上記の図のように、ファイントラックはさらにきめ細かく対応できる5レイヤーシステムを採用している)。
従来の3レイヤー方式では、アンダーウェアが肌をドライに保つと同時に、発汗蒸散機能と保温機能を担っていたが、発汗が多くなると蒸散機能が追いつかず、いったん外側に排出した汗が肌側に戻ってきてしまう「濡れ戻り」が起こってしまう。濡れ戻りが起こると、肌から熱が奪われ、どんなに厚着をしていても凍えてしまう。また、筋肉が急激に冷やされるために、痙攣も起こしやすかった。
今の4レイヤーシステムでは、ドライレイヤー+ベースレイヤー+ミッドレイヤー+シェルの構成になる。肌に密着したドライレイヤーが撥水性を備えていて、濡れ戻りを防ぎ、常に肌をドライに保つ。ベースレイヤーは、素早く汗を吸収拡散して外側へ放出する機能を受け持つ。ミッドレイヤーは、ベースレイヤーから受け渡された汗をさらに外側へ放散すると同時に、デッドエアをためて、保温効果を受け持つ。そして、シェルは防水透湿機能によって、内側の余分な蒸気を外気に放出すると同時に、雨の侵入を防ぎ、冷たい外気を遮断する機能を受け持つ。
さらに、ベースレイヤーやミッドレイヤーは素材やロフト(厚み)の違いによって、汗の蒸散性や保温性が異なる様々な種類がある。季節や運動の種類、体質などに合わせて適切なレイヤードを組めば、驚くほど快適にアウトドアライフを送ることができる。
今回は、「高山」、「トレッキング」、「ラン・トレイルラン」、「サイクリング」といったシチュエーション別に、GWに向けてのレイヤリングを紹介してみよう。
【高山】
本州の3000mクラスや東北、北海道の山岳ではまだ雪が残り、とくにこの冬に豪雪に見舞われた地方では、例年よりも雪が深く、朝晩の冷え込みはまだまだかなり厳しい。テント泊なら厚手のテントマットと冬用のシュラフを用意していきたい。
ウェアリングのほうは、晴天時と曇天もしくは荒天時で変わるので、そのバリエーションを用意しておきたい。
晴天時は、雪面からの照り返しもあって、かなり暑く感じられる。トップはドライレイヤーに薄手のベースレイヤー、薄手のミッドレイヤー、ボトムはドライレイヤーかベースレイヤーにアルパインパンツもしくはショーツの組み合わせでいいだろう。休止時の冷えを防ぐために、アウターも用意したほうがいい。
曇天時や荒天時は、雪原の中にあってかなり寒いので、トップはドライレイヤー、ベースレイヤーに厚手のミッドレイヤー、さらに必要ならもう一枚ミッドレイヤー、そして防寒と防水を兼ねたアウターの組み合わせ。ボトムはドライレイヤーに厚手のベースレイヤー、そして直接アウターを着用してしまったほうが着脱の手間が省けていい。
--晴天時のレイヤード--
フラッドラッシュスキンメッシュ+ メリノスピンライト+ドラウトセンサー(脱ぎ着して温度調節)
メリノスピンライトタイツ+ストームゴーシュハーフパンツ+スパイルフィルソックス
--荒天時(寒冷時)のレイヤード--
フラッドラッシュスキンメッシュ+メリノスピンサーモ+ドラウトセンサー+エバーブレス・バリオ
フラッドラッシュスキンメッシュ+ドラウトクロー+エバーブレス・バリオ+スパイルフィルソックス
【トレッキング】
雪のないフィールドをトレッキングするなら、できるだけ身軽なスタイルがいい。ドライレイヤーに薄手のミッドレイヤー、朝夕や休憩時の冷えに備えて厚手のミッドレイヤーを一枚。ボトムはアルパインパンツ一枚もしくは、さらに軽快にするなら薄手のベースレイヤーのロングタイツにアルパインショーツの組み合わせもいい。
さらに、レインウェアも必須だが、これは他にウインドブレーカーやアウターなどを持たずにすむように、防風防寒シェルも兼ねた防水透湿素材のものが望ましい。
フラッドラッシュスキンメッシュ+ラミースピンドライ+ドラウトセンサー(予備)+エバーブレス・フォトン
メリノスピンライトタイツ+ストームゴーシュハーフパンツ+ラミースピンソックス
【ラン・トレイルラン】
登山やトレッキングの世界では新しい4レイヤーシステムがかなり定着したが、まだランニングの世界ではあまり知られていないようだ。
ランニングでは激しい発汗をともなうことが多く、こまめにウェアの脱ぎ着もできないので、濡れ戻りのないドライレイヤーを着用する効果はもっとも大きい。
コンディショニングウェアを着用している人も多いと思うが、これを直接肌の上に着るのではなく、ドライレイヤーをまず着用してから、その上にコンディショニングウェアを着るようにすると、肌が嘘のようにサラサラでその効果がすぐに実感できるはずだ。
ランでのレイヤードは、その日の気候に左右される。ドライレイヤーの上に薄手のベースレイヤーが基本で、その日の気候に合わせてベースレイヤーの種類を変えて対応する。ボトムはドライレイヤーにランニングパンツが基本で、寒いときはベースレイヤーも合わせるといいだろう。
--暑いときのレイヤード--
フラッドラッシュパワーメッシュ+ドラウトエア
フラッドラッシュパワーメッシュ+ストームゴーシュハーフパンツ+ラミースピンソックス
**フラッドラッシュパワーメッシュはタイトフィットで、コンディショニングウェア的な機能も兼ね備えています。発汗性はフラッドラッシュスキンメッシュよりも優れますが、慣れない人(若干ファットな人)にはかなりな圧迫感があります。
--寒い時のレイヤード--
フラッドラッシュスキンメッシュ+メリノスピンライト+エバーブレス・フォトン(荒天時)
メリノスピンライトタイツ+ストームゴーシュハーフパンツ+ラミースピンソックス
【サイクリング】
サイクリングも基本はランと変わらないが、ランよりも風を受けて体温を奪われやすいので、アウターが必須となる。この春に登場した「エバーブレス・フォトン」は、従来のレインウェアよりも高い防水性を持ちながら、汗を逃がす透湿効果が高く、しかも伸縮性が非常に高くて動きを妨げず、オールラウンドアウターとしてお薦めだ。
フラッドラッシュスキンメッシュ+メリノスピンライト+エバーブレス・フォトン
メリノスピンライトタイツ+ストームゴーシュハーフパンツ+ラミースピンソックス
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