□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
vol.205
2021年1月7日号
□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
◆今回の内容
○火のイニシエーション
・シャーマンのイニシエーション
・火の親方
・中国の錬丹術
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
火のイニシエーション
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
みなさん、あけましておめでとうございます!
いつのまにか年が明け、もう松の内も終わり。時の流れがほんとうに目まぐるしく感じられます。それに加えてパンデミックやアメリカでの騒乱など、落ち着きのない新年ですが、今年で10年目を迎えたこの講座は、淡々と次の10年を目指していきたいと思いますので、あらためましてよろしくお願いいたします。
ところで、新年早々お恥ずかしいのですが、前回配信した記事を一つ訂正させてください。私は、前回の最後で、はやぶさ2が小惑星イトカワから試料を採取したと記したのですが、これはイトカワではなく「リュウグウ」でした。イトカワから試料を採取したのは、初代のはやぶさのほうで、取り違えてしまいました。
私も、気がつけば今月は還暦。最近の出来事と過去の出来事を取り違えてしまうあたりに、否応なく老化を感じております(笑)
それはともかく、今回は、前回に引き続いて、ミルチャ・エリアーデの『鍛冶師と錬金術師』を参考に、人間と火の関わりについて、とくに火を使ったイニシエーションと、その根源にあるイメージについて考えてみたいと思います。
今年も新型コロナの影響で、祭礼なども中止や縮小を余儀なくされそうですが、今月は小正月のどんと焼きが行われたり、また密教寺院などでは護摩焚きが行われます。
この15年あまり、私は3月に若狭で行われる「お水送り」に参加してきましたが、残念ながら、去年も今年も自粛ということで参加を見合わせることとなってしまいました。このお水送りでも、それを受ける形で行われる奈良のお水取りでも、「ご香水」と呼ばれる聖水を清めるための盛大な護摩が焚かれます。
屋外で行われる護摩焚きでは、濛々たる白煙が立ち込め、それが消えた後に勇ましい紅蓮の炎が空に立ち上ります。その激しくのたうつ炎を見て、みなさんは何を連想されるでしょうか。多くの方は、瑞祥である龍や降魔の仏の姿が思い浮かぶのではないでしょうか。しかし、本来その炎の中に認めるべきなのは、そうしたものではないのです。
燃え盛る炎は、そこに自己の姿を投影するために焚かれます。炎が揺らぎ千切れる姿に、自分が引き伸ばされ、五体を引きちぎられ、粉々に砕かれる様を観想するのです。そして、己が解体されてこの世から一度消え去った後、再生してくる姿を見届けるのです。
それは、俗世に塗れて穢れた現身がいったん死んで、穢れを払って再生してきた姿であり、その再生した自己像を自分に戻すことで浄化するという意味があります。「火による浄め」とはそういうことなのです。
●シャーマンのイニシエーション●
日本では、独自の密教儀式の中に炎で清める「護摩焚き」があるので、これが仏教一般に行われるもののように思いがちですが、密教以外の仏教宗派には火を使う儀式というものはほとんどありません。護摩焚きのように、火で清めるという考えは、ゾロアスター教に顕著なもので、さらに遡ればシャーマンのイニシエーション(通過儀礼)に行き着きます。
>>>>>続きは「聖地学講座メールマガジン」で
初月の二回分は無料で購読いただけます。
コメント