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レイラインハンター内田一成の「聖地学講座」
vol.101
2016年9月1日号
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◆今回の内容
◯自然の猛威と聖地
・津波が避けた聖地
・風神雷神と祈雨の聖地
◯お知らせ
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自然の猛威と聖地
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先週は岐阜から福井方面をオートバイで巡ってきました。毎年恒例の「ツーリングマップル」(昭文社)の取材です。この取材では年を追うごとに厳しくなる夏の暑さを実感させられていますが、今年は命の危険すら感じさせるほどでした。
日中、外気温は38℃以上もあり、それだけでも辛いのに下からはアスファルトの照り返しとエンジンの熱気が立ち上ぼり、ヘルメットにはギラギラと直射日光が照りつけて、ずっと蒸し焼きにされているような状態でした。
走っても熱気が押し寄せ来るばかりで、涼しさは微塵も感じられません。頭は朦朧としてきて、道の駅やカフェを梯子して涼まないとたちまち熱中症で倒れそうで、もはや取材どころではありません。
そうして、私が北陸で日に焼かれているとき、関東は台風に直撃されていました。さらに、一昨日は気象観測史上初めて東北に直接台風が上陸するという異常事態に見舞われました。
地球が温暖化したり、その影響で台風が巨大化するのはまぎれもなく文明化による人災です。空調の効いた室内で一日過ごしていたのではわかりませんが、アウトドアで異常な自然環境を経験すると、もはや後戻りできないのではないかと絶望的な気持ちになってしまいます。
地球の熱を冷ますには、それを引き起こしたウイルスである我々人類が駆除されなければいけないのでしょうか? そうならないためにも我々自身で知恵を絞って温暖化を鎮静させなければなりませんね。
今回は今まで人が気象現象とどのように向き合ってきたのかを聖地の観点から振り返り、今後、私たちがどのように気象=自然と向き合っていくべきなのかを考える参考にしてみたいと思います。
【津波が避けた聖地】
3.11東日本大震災の後、過去の記録の中に地震とそれに続く津波のことを記したものが見つかったり、津波の到達ラインぎりぎりに神社が並んでいて、「地震が来たら、この神社まで逃げろ」という言い伝えが残されていたことがわかったりしました。
せっかく先人たちが残してくれたそうした警告を振り返っていれば、津波に命をとられた人ももっと少なく、そして福島第一原発の核汚染災害も防げたのではないかと思うと残念でなりません。
私は昨年から福島県いわき市の聖地調査を行っていますが、まさに津波の到達ラインに沿って神社が並んでいるのを確認しました。その多くは地形的な要因で、高台になっているところでしたが、たとえば高台にある神社へ向かう参道がうまく波を避けるようにつけられていたり、集落にあった古い道が参道に集約されるようになっていて、海から離れていく方向に逃げればスムーズに高台に導かれるようになっているなど、知恵がたくさん詰まっていることに驚かされました。
さらには、海際にありながら、周囲の建物はみんな津波で攫われたのにそこだけぽつんと残っている社もあり、「逃げ場を失ったら、秋葉神社に上がれ」と言い伝えがあった事例もありました。上のリンクはその秋葉神社の動画ですが、これを見ると、見事にこの社だけが残ったことがわかります。ここは明治三陸大津波の際にも残ったと言われていますので、単なる偶然ではなく波の干渉のような要素があるのでしょう。
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