アウトドアのアクティビティというと、車にキャンプ道具を積んで、海や山へ出かけていくイメージがあるけれど、最近は、身近な森や里山で楽しめて、しかも自然に浸る満足感の高いアクティビティが増えてきた。
今回は、そんなアクティビティとギアをいくつか紹介してみよう。
【スラックライン】
ロッククライマーの綱渡り遊びから発展した誰でも安全に楽しめる綱渡り。初めはスノーボーダーやサーファーがバランス感覚を養うのに最適と、練習に取り入れ始め、それがスポーツとして定着した。近所の公園などで楽しめる手軽さから大ブレイクしている。
スラックラインは、幅50mmのテープ状のラインを木の間などに張り渡し、その上をバランスをとりながら歩いたり、ジャンプしたりする至極単純なスポーツ。見た目は簡単そうだが、これほど見るとやるとで大きなギャップのあるスポーツも滅多にない。
はじめは歩くどころか一歩踏み出すことすら困難。ところが、ひたすら練習を続けるうちに、ある瞬間、突然歩けるようになる。それは、例えれば、初めて自転車に乗れるようになったあの瞬間。自分では理屈は理解できないけれど、体が自然に学習して突然新しい世界が開けるような感じ。あの新鮮な感覚を大人になっても味わえるのがスラックラインだ。ちなみに、ぼくは49歳でスラックラインに乗れるようになって、まったく無邪気に子供のようにはしゃいでしまった。
スラックラインは体幹を鍛える効果が抜群で、これを習得すれば、あらゆるスポーツで驚くほどバランスが良くなり、体の動きがシャープになることを体感できる。はじめのうちは30分もやると、足が震えるくらい疲労するけれど、慣れてくると力を入れずにラインの端から端まで難なく歩けるようになり、アクションもできるようになってくる。
とにかく二本の木があればできる手軽さがいい。そして、公園で楽しんでいると、子供から大人まで歳や性別関係なしに興味を持って人が集まってきて、いつのまにかスラックラインを中心に無邪気な遊びのコミュニティが出来上がってしまうその魅力がいい。
木漏れ陽踊る樹林の中で、爽やかな空気を吸いながら家族みんなでスラックラインはいかが?
キャンプに出かけるなら、スラックラインを一本、荷物に入れておけば、キャンプサイトがそのままアウトドアアクティビティのフィールドに変身!
【ツリーモック】
普通のハンモックは太く強靭な綿糸などを編んで網状にして、蛹のように包まれて寝るスタイルになるが、ツリーモックは頑丈な帆布とフレームで作られたもので、底面がほぼフラットで、ハンモックというよりは「テラス」に近い。
これは元々、欧米の樵(アーボリスト)たちが、高さ100mもあるような巨木を切り出す際に空中で休憩したり、ビバークするために用いられてきた。
重いチェーンソーやリギング(伐採した木を吊るすシステム)の用具などをまとめて置いてもびくともせず、大人が横に並んで3、4人腰掛けて寛げる余裕と強度がある。
二本の木に付属のスリングを巻き付けるだけなので、森や林の好きな場所に、手軽に設営できる。
次に紹介するツリーイングのイベントなどでは高い位置に設営するけれど、これからの季節は、近所の公園で腰くらいの高さに設営して昼寝を楽しんだり、キャンプの際にベンチ代わりとしたり、いろいろ応用できる。
モスキートネットやキャノピーも用意されているので、これを使えば快適なハンモックテントとしても利用できる。
【ツリーイング】
ツリーイングは、欧米の樵(アーボリスト)たちが巨木を剪定したり伐採するために、ロープを使って安全に登降し、作業する技術を応用したアクティビティ。
樹木の上部の枝に「アーボリストロープ」と呼ばれる専用ロープを掛け、専用のハーネスを装着して、誰でも安全かつ簡単に木の上に登ることができる。日本での普及活動を行なっているのはTMCA(ツリー・マスター・クライミング・アカデミー)で、T1,T2,T3のツリーイングクライマー資格とツリーイングインストラクターの認定を行なっている。
T1はDRT(ダブルロープテクニック)と呼ばれる基本技術を中心に、安全に登降を独りでできるレベル。T2はSRT(シングルロープテクニック)と呼ばれるスタティックロープとアッセンダー、ディセンダーを使ったメカニカルシステムの登降で、ケービングなどと類似する技術。とくに20mを越えるような高所に一気に登る場合に使われる。T3は、樹上でビレイしながら移動したり、作業を安全に行うための技術。インストラクターは、これらの技術に習熟している他、レスキューやイベント運営などの実践的技術を磨き、インストラクター検定に合格する必要がある。
アクティビティとしてのツリーイングはインストラクターが開催する体験会やワークショップで体験することができる。ベーシックなT1技術を使い、子供から年配者まですぐに登れるのが特徴だ。
身近な公園の木に登り、鳥の目線で景色を見渡すと、地上では見慣れていたはずの景色がまったく異なる場所に感じられる。ほんの10mほど登っただけで、地上とは風や日差しが異なり、鳥の声やリスなどの小動物の気配が身近に感じられる。
まずは、体験会やワークショップに参加して、木の上の世界を味わってみよう。
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