真言宗の中でも修験に近い寺院では冬至に「星供(星祭)」という儀式を行う。
一年の内でもっとも日が短くなる今日=冬至の日、太陽が死んで世界は星が支配する。その星が支配する世界で、悪運の星を退散させ、 良運の星を呼び寄せる。そして、明日の太陽の再生を願う。
修験姿の僧が護摩壇に向かって観音経と般若心経を唱え、護摩を焚いて祈る。
昨年は、 レイラインハンティングの「小田急直線路の謎」でも紹介した喜多見不動を訪ねて、 洞窟の中に安置された不動明王に冬至の夕陽が差し込む瞬間を拝んだ。
今年は、自宅に近い浦和の大善院でお祓いを受けた。
喜多見不動では、お堂に入ってお祓いを受けられるのは、原則、檀家に限られるが、 ここはオープンで誰でも檀家の人たちと一緒にお祓いを受けさせてくれた。
仏教では祈祷やお祓いといったことは普通は行わないが、修験や陰陽道、道教などが複雑に入り交じった密教では、 こうしたマジカルな儀式もごく普通に行われる。
同じ冬至祭りでも、クリスマスよりは星供のほうが、やはり日本人の心性に合っている感じがする。
星供に参加し、護摩供を受けた御札をいただき、帰宅してからは、唐茄子を入れたうどんを食べ、ゆず湯に浸かった。さらに、 唐茄子入りの汁粉を。
こうして、しんみりと一日を味わう冬至の日を過ごすと、今日が一年のお仕舞いという実感が湧いてくる。
今年は、様々なものを捨てた年だった。捨ててみて、それが自分にとっていかに大切なものであったかを痛切に感じることがあった。 一方、手放してみて心が軽くなり、自分にとってたいして意味のないものこだわっていたその執着が愚かに思えたことがあった。
来年は、いったいどんな年になるのだろうか。『善星皆来 悪星退散』、生まれ変わった気持ちで、新しい年を迎えようと思う。
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