**馬と人が協力し合って、自然の中で長丁場を走りぬく、エンデュランス競技。
早くからこの競技を手がけてきたネイティヴビレッジ代表の宗形郁夫氏(左)と日本を代表するライダー谷邦彦氏。
間に挟まれているのは、谷氏の愛馬・勝太郎**
乗馬競技の中に、「エンデュランス」という種目があることをご存知だろうか? 「乗馬」と聞くと、 馬場馬術や障害レースといったものが思い浮かぶが、エンデュランスは、仕切られた馬場の中ではなく、広いオープンフィールドの中で、20、 40、80、120、160kmといった長丁場を駆け抜けるタイムレース。
タイムレースといっても、ただ早いだけではダメで、コース途中に設けられたメディカルチェックで馬体検査を受けて、そのときに、 馬の体が不調だったり、負荷のために疲労が基準を超えていると失格になってしまうもので、ライダーは、体力と技術が必要なのはもちろん、 いかに馬をいたわりながら、馬と一つになって過酷なコースを乗り越えていかなければならない。
とくにエンデュランス競技の最高峰である100マイル(160km)レースでは、早朝にスタートしてからゴールするまで丸一日、 あるいは翌日の昼までかかる長丁場で、これは、無事完走するだけでも、高度な技術と知識、そして体力が要求される。
先日、そのエンデュランス競技に早くから牧場をあげて取り組み、トップライダーも輩出している山梨県富士河口湖町にある 「ネイティブビレッジ」 を訪ねてきた。
富士山の裾野に広がる朝霧高原の一角にあるこの牧場では、22頭の馬を擁して、乗馬体験からエンデュランスレースへの参戦、そして、 子供たちを主体にした乗馬・牧場体験キャンプなどを実施している。
そもそも、ぼくはネイティブビレッジを訪ねて、代表の宗形さんから話を聞くまでは、 エンデュランスという競技があることすら知らなかった。ネイティブビレッジの面々は、 ぼくが訪ねた前日に軽井沢の照月湖を中心に行われたエンデュランスレースに参戦して、現地から戻ったばかりだったが、 レースの疲れもまったく見せずに、同じく照月湖で行われた昨年のレースのビデオなどを見せてくれた。
自然の地形をそのまま利用して、オープンフィールドで繰り広げられるレースは、 ぼくが昔走っていたオフロードバイクのエンデューロレースとほとんど同じロケーションで、馴染み深いものがある。
しかし、バイクのエンデューロ競技では前方に視線を据えて、エンジン音を轟かせながら、ひたすら突き進んでいくのに対して、 同じロケーションの中を、静かに蹄の音だけが響いて、ゆったりと進んでいくエンデュランス競技とでは、決定的な違いが感じられる。
バイクのエンデューロでは、「自然と闘う」といったアグレッシヴな雰囲気だが、乗馬のエンデュランスでは、馬と人とか一体となって、 いかに自然と調和してそこに溶け込んでいくかがポイントとなっている。
馬が疲れてくれば、ライダーは道端の草を食ませ、小川のせせらぎで止めて水をゆっくりと飲ませる。 馬に極度の負担がかかるガレ場の登りなどでは、馬から降りて、ライダーが引き馬する場面などもある。
そして、馬体検査のときには、馬にマッサージを施したり、サプリメントを摂らせたりと、見ていると、 人よりも馬が主役のレースだということがはっきりとわかる。
「馬に騎乗していると、木の枝の高いところに届くので、ときには、目の前の木の実を取って食べたりすることもあるんですよ」と、 谷選手。
以前、このブログでも紹介した「ツリーイング」では、近所の公園の景色が木の上から眺めると、 普段目にしているものとまったく違って驚かされたが、馬の上の高い目線から、眺めながら自然の中のトレールを行く気分は、また格別だろう。
それに、馬という生き物と一緒に、パートナーとして同じ自然を体験するという感覚も新鮮で楽しそうだ。
これから、機会を見つけて、エンデュランス競技について紹介していこうと思っているが、その前に、自分でも乗馬を練習して、 「外乗=がいじょう」と呼ばれる、馬場から出てフィールドの中を馬でトレッキングする体験をぜひしてみたいと思う。
**昨年行われた、日本で初めての160kmレースを伝える新聞記事。
このレースにネイティブビシッジの谷選手も参加して、完走を果たした。右の写真は、
そのときのコースマップ**
**レース中、いくどか行われる「馬体検査」では、非常に細かい検査項目をチェックされる。
これで失格になるケースも多い。ただ早く走るだけでなく、いかに馬をいたわりながら走破するかがポイントとなる、
とても知的な競技だ**
**ネイティブビレッジの厩舎と馬場。現在、この牧場には22頭の馬がいる**
**初心者からベテランまで、ネイティブビレッジでは、多彩な乗馬プログラムが用意されている。
また夏休み中は、牧場内で寝泊りして、牧場生活と乗馬を体験できるジュニアキャンプも開催している**
谷さん、コメントありがとうございます。
こちらこそ、いろいろと興味深いお話しを伺え、ありがとうございました。
また、近々伺って、自分でも乗馬に挑戦したいと思いますので、よろしくお願いします!!
投稿情報: uchida | 2007/08/22 10:40
内田さん、こんにちは。
先日はありがとうございました。
次回は馬でなければ入り込むことの出来ない富士の大自然にご案内したいと考えています。またお時間がある時に寄ってください。
投稿情報: 谷邦彦 | 2007/08/16 12:40