3歳違いの従兄弟がいる。
彼は生粋の理系人間で、電通大からSONYへ入社し、基礎研究畑をずっと歩んできた。学生時代からの一貫したテーマは、 ロボット制御技術で、今は無くなってしまったが、AIBOのセンサーなども担当していた。
その彼が、一昨年、会社をスピンアウトして、新世代のセンサーを開発販売する会社を立ち上げた。
理系一直線の従兄弟に対して、ぼくは文系一直線。大学も私立の法学部で政治選考だから、まったく正反対の道を歩むことになった。
そんな彼と不思議な共通点が生まれたのは、今から10年前。そのとき、ぼくはSEGAでゲームの企画とシナリオの仕事を始め、 ちょうどSONYがプレイステーションを引っさげて、ゲーム業界に乗り込んでくるところだった。
SEGAの中では、家電のSONYがPC事業の失敗の後にコンシューマゲーム市場に乗り込んできても、 所詮敵ではないといった慢心があった。結果は、その後2年も経たないうちに、SEGAはコンシューマーゲーム機メーカーから転げ落ち、 この分野でのソフトハウスへの転換を余儀なくされた。
ぼくが関わっていたビッグプロジェクトも縮小の憂き目に遭い、ぼくはSEGAから離れることになったわけだが、 その時期にたまたま従兄弟と顔を合わせると、「裕ちゃんたちのおかげで失業したよ」と、冗談で言ったものだった。
従兄弟がスピンアウトしたことは知っていたが、具体的にどんな製品を開発しているかまでは知らなかった。
それが、昨年末に、たまたまネットサーフィンしていて、新技術紹介のサイトで彼の「知能センサー」とそれを元に開発した「Sky Theater」が紹介されていて、興味を持ち、連絡をとってみた。
今までにない、高感度でしかもレスポンスの早い位置・加速度センサーを元に、それを映像と組み合わせて、 直感的に操作できるシステムとしたもので、デモンストレーションをセッティングしてもらったので、せっかくだからと、SEGA以来、 時々一緒に仕事をしているデジタル映像コンテンツの会社の社長に声をかけた。
その社長とは、国立の機関で防災シミュレーションコンテンツの企画なども共同で行っていて、従兄弟の会社のシステムは、 まさにそういった用途にぴったりだった。
かくして、幼い頃から、理系と文系で正反対の道を歩み、SONYとSEGAというライバル会社に身を置いて、今度は、もしかしたら、 一緒に組んで仕事をすることになるかもしれない。
従兄弟との関係を振り返ってみると、まったく運命とは面白いものだと思わされる。
今年は、この件では、ペンディングとなっていたビッグプロジェクトを前に推し進める機会とすると同時に、 従兄弟の事業のサポートも最大限していきたいと思っている。
他にも、今年は、新しいチャレンジとプライベートな大転換が控えている。そんな中でも、またどんな縁が生まれてくるのか、 とても楽しみだ。
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