**やはり、大画面は見やすい。60CSx以来採用されている高感度チップの受信精度もいい。
谷間や樹林帯の中、渡海のビルの谷間でも、ほとんど衛星信号をロストすることはない。MSAS補正も瞬時で、
DGPSとしての精度・使い勝手も非常に良い**
6月に、発売になったばかりのハンディGPS"GARMIN Colorado300 日本版"の簡単な紹介をしたが、 あれから一夏を経てアウトドア用ハンディGPSとしてだいぶ定着してきた。
そこで、今回はColorado300の実際の使用感や使う上での工夫などを紹介してみたい。
まず、Coloradoの内容構成だが、本体、マニュアルとクイックガイド、トリップ・ウェイポイントマネージャー、 USBケーブル、カラビナ付のホルダーとなる。
60Csxのように詳細地図がバンドルされているわけではないので、本格的にナビゲーターとして使うには「シティナビゲーター」、 アウトドアアクティビティ用には「地形図TOPO-10M」、「ブルーチャート」など、 用途に合わせて別売りのマップソースを購入する必要がある。
本体を手に持ってみると、緩やかにラウンドしたシェイプがぴったりとフィットして自然に保持できる。 背面のラッチは電池ケースのロックも兼ねていて、ザックのショルダーベルトなどにぶら下げるときには、 付属のカラビナ付ホルダーに換装する形となる。
記憶メディアは、SDカードだが、microSDカードで供給されるマップソースをアダプターに入れれば、そのまま使用できる。 カードスロットはラバーグリップに包まれるかっこうになるので、ここからの浸水や埃の侵入の心配はない。
電池ボックスもラバーグリップの中となる。かなりタイトな作りで、 これは以前のモデルの初期ロット時に問題になっていた電池ボックス内での電池暴れによる瞬断を防止するものだろう。実際、 かなりラフに扱っても電池が接点から一瞬外れて電源が落ちる「瞬断」現象は観られなかった。
ラバーのフラップでカバーされたトップの部分にはUSBの端子と外部アンテナ端子がある。
サイズを比較してみると、筐体の大きさは、MAP60CS系とeTrexC系のちょうど中間となるのがわかる。 ディスプレイサイズは60CS系が240x160ピクセル、eTrexC系が220x 176ピクセルに対して、 Coloradoは400x240ピクセルと大型になり、表示範囲も広くだんぜん見やすくなっている。
Garminはこれまで、 eTrexシリーズのクリックスティック+ボタン方式や60CSシリーズの十字キー+ファンクションボタン方式など、 ワンハンドで操作できる工夫をいろいろ生み出してきたが、 Coloradoでは筐体の上部にあるロックンローラーパッドと左右のファンクションキーの組み合わせで全ての操作を行えるものとした。
キーの操作もスムーズで、押し間違いやザックのストラップなどと干渉してキー操作が勝手に行われてしまうようなこともなくなり、 ストレスフリーとなった。ただ、日本語を入力する際には、50音を一字ずつスクロールしなければならず、 これで長い物件名を入力しようという気はそがれてしまう。eTrexや60CS系のように、50音パレット方式のほうがストリスは少ない。
もっとも、現地では記号だけを打ち込んだり、GPSが割り振る通し番号で済ませ、後でマップソースを使って編集のが一般的だから、 PCと連動させずにGPS本体だけで運用しようというのでない限り、問題ないだろう。
Coloradoで少々残念なのは、バッテリーライフの問題だ。カタログスペックでは単三電池2本で10時間だが、 バックライトを点灯して使用していると実質7~8時間といったところ。60CS系が実質で14~15時間、 eTrexC系で20時間は連続使用可能なので、これらのモデルから乗り換えると、この点が不満に感じられる。もっとも、 これは見やすい大画面液晶とのトレードオフともいえるもので、かつてモノクロのeTrexで5~6時間だったことを考えると、 丸一日の行動には十分なので、Coloradoからエントリーする人にはたいした不満点にはならないかもしれない。
ちなみに、ぼくは、かつてモノクロeTrex時代に併用していたバイオレッタソーラーギアを引っ張り出して、 充電できるニッケル水素電池を使っている。晴れた日なら、丸一日充電すれば3~4時間の使用に耐えられるだけの充電量が得られるから、 二泊三日程度の行程なら、予備電池を2本用意していくだけで足りる。
Coloradoは、他に自転車のケイデンスセンサーのデータを取り込んだり、 ハートレートモニターのデータを取り込んだりもできるので、サイクリング用のGPSとしても最適だ。
さらに、地形図TOPO-10Mのver7以降を使えば、等高線データに基づいた3D化表示をしてくれるので、 直感的に地形を掴みやすくなっている。
しかし、GPSは初代eTrexの時代から、かれこれ10年近く使い続けているが、まず地図表示ができるようになったことに驚き、 それからカラー表示、高感度チップによる衛星信号ロストの激減、 MSAS運用開始によるDGPS(ディファレンシャルGPS)の実用化で精度が数十cm単位に、カーナビ同様のナビゲーション、 地形図への登山道や林道の反映……と、留まるところを知らない進化を目の当たりにしてきた。
Coloradoを手にして、ハンディGPSもこんなところまで進化したかと、信じられないくらいだが、 まだまだ進化は続いていくのだろう。
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